まちかど文化財4 寺山の「千手観音」|Web資料館|三春町歴史民俗資料館
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まちかど文化財 4
寺山の「千手観音」
観音堂
石仏
上舞木の寺山に、千手観音が祀られています。
境内はそれほど広くはありませんが、二間四方の小さなお堂と、奉納された石仏の姿に、ここを崇敬する多くの方の気持ちを汲み取ることができます。
この境内に、たいへんきれいな清水がわき出ているところがあります。
伝説では、目の悪い人や病気の人が、この水で目を洗うと早く直るといわれ、ここをお参りする人が絶えなかったともいわれています。
境内に奉納された観音像などは、おそらく病が治った人によって奉納されたものではないかと思います。
ところで、この清水が注ぎ込む境内脇の池には、次のような話が伝わっています。
昔、観音堂の近くで火事があった際、火の手がせまる観音堂の屋根には、池に住むタニシがたくさん上がり、殻を盾にして火からお堂を守ったそうです。
タニシのおかげで、お堂は火事から守られましたが、火をあびたタニシたちは、みな貝殻の先が焼け落ちてしまい、この後、池に住むタニシはみな貝殻の先のないものになってしまったそうです。
ちなみに、別のところで採れたタニシをこの池に入れると、いつのまにか先がなくなったともいわれています。
観音堂を守ったタニシは姿を変えることになりましたが、このタニシを「観音様のツブ」と称し、採る人はいなくなったそうです。
目を治すとされる清水と、そこに住む不思議なタニシの伝説は、静かにたたずむ観音堂とともに、現在に残されているのです。