古代ダルマ?雪村ダルマ?それとも座禅ダルマ?|Web資料館|三春町歴史民俗資料館
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古代ダルマ?雪村ダルマ?それとも座禅ダルマ?
顔が黒く、身が細い変わったダルマ、古代ダルマ。
いつの頃からか三春に伝わるこのダルマ。
さまざまな名前を持っています。「雪村ダルマ」、「古代ダルマ」そして、「座禅ダルマ」。
このダルマの会話をしていても、
「雪村ダルマは、厳しい顔をしていていいねえ。」
「そうだねえ。古代ダルマは、他のダルマとはおもむきが違うよ。」
このように、人によって呼び方が異なるのです。
なぜ、このダルマはさまざまな名前を持つのでしょうか?また、正式名称はいったい何でしょうか?
こうした疑問を解決すべく、いろいろな方にお話を伺いました。
このダルマの制作元であるデコ屋敷・恵比須屋さんのお話
昭和40年代に先代が蔵から一体の木型を発見し、「古代ダルマ」と名づけた。
発見された木型の複製からダルマを作るため、大きさは一定である。
このダルマを長年購入している方のお話
修行中の達磨大師をモチーフに制作されたものであり、「座禅ダルマ」と呼んでいる。
悟りをひらく前の達磨大師を強調するため、黒い顔、険しい表情、手が描かれる等、非常に人間くささを帯びている。
高柴デコの会著『デコ屋敷』の内容
昭和40年代にデコ屋敷・恵比須屋の蔵から木型が発見され、「古代ダルマ」と名づけられた。
福聚寺に伝わる「雪村筆達磨図」をモチーフに、発見された木型から制作されたものではないか。
(「雪村ダルマ」と呼ばれる所以か?)
以上の、お話・文献から、次のように解釈できるのではないでしょうか。
このダルマは、昭和40年代にデコ屋敷・恵比須屋さんの蔵から木型が発見され、「古代ダルマ」として生を受けた。
悟りを開いた達磨大師をモチーフにした通常のダルマに対し、修行中の達磨大師をモチーフに制作することになり(「座禅ダルマ」と呼ばれる所以)、そのモデルになったのは、福聚寺に伝わる「雪村筆達磨図」だったのではないか(「雪村ダルマ」と呼ばれる所以)。
このダルマを制作された方が「古代ダルマ」と呼んでいることから、正式名称は、「古代ダルマ」と考えるのが自然だと思います。
しかし、はっきりしていることは、さまざまな名称で三春の人々に呼ばれ、親しまれている事実です。
多彩でユニークな三春ダルマの代表格として、今後も生き続けることを信じてやみません。
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