三春の文化財2 雪村「奔馬図」|歴民コラム|三春町歴史民俗資料館
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歴民コラム
三春の文化財2
「雪舟」と言えば水墨画の大家として有名ですが、「雪村」という絵師はご存知でしょうか?
雪舟の弟子と言われた時期もありましたが、2人が活動した時期も地域も異なるため、直接の関係はなかったようです。
雪村は戦国時代に、現在の茨城県に生まれ、小田原、鎌倉、会津を遍歴し、最後は三春(現在の郡山市西田町の雪村庵)で亡くなったと言われています。
三春町で文化財に指定されている雪村の作品は、1つは福聚寺所蔵の「達磨図」、そしてもう1つは、資料館所蔵の「奔馬図」です。
奔馬とは、疾走する馬のことで、軽快な筆使いによって描かれています。
まほらホールの緞帳のモチーフだと言えば、思い出される方もいるかと思います。
雪村の本物の作品であれば、お宝鑑定団でも高額査定必至の代物ですが、興味深いのが伊達政宗の雪村の絵に対する関心度です。
天正15年(1587)、21歳の政宗は「鎖かたびらと雪村の絵を進呈され、鎖かたびらには大変ご満悦」だったと手紙に記しています。
つまり政宗は、鎖かたびらを貰って嬉しかったけど、雪村の絵には・・・コメントなし。
人の好みは今も昔も十人十色ということなのかもしれません。
(2020年5月)
奔馬図(館蔵)