三春の文化財9 斎藤の太々神楽・直毘神社の太々神楽|歴民コラム|三春町歴史民俗資料館
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歴民コラム
三春の文化財9 斎藤の太々神楽・直毘神社の太々神楽
地域の信仰に根づいた慣習や芸能は、普段あまり意識されていないためか、気づいたときには継続が難しい状況にあったり、廃絶となったりしていることが多くあります。
事実、三春町内では風流踊り(七福神舞など)が廃絶してしまっており、記録することもかないませんでした。
お祭りで行われている太々神楽も、奉納中止から廃絶へと至るものが出ています。
そうした中で、指定文化財となっている斎藤や直毘のものだけでなく、指定とはなっていませんが御祭や庄司などのように奉納が続けられているものがあることは、三春の伝統芸能を次世代に伝えるためにも、非常に心強く思われます。
ご存知のとおり、太々神楽は神社の祭礼の折に奉納される舞などで、三春で奉納されるものの多くは出雲流神楽です。
神事の形を残す演目から、天地開闢(てんちかいびゃく)などの神話に基づく演目まで、多いところでは30以上が演じられます。
その他、湯立神楽という清めや託宣(たくせん=占い)のために行われる神楽もあり、舞方、囃子方含め、地域の多くの方々が関わって構成される芸能と言えます。
斎藤を始め、廃絶した神楽のほとんどは、船引町の大倉神社の神職として神楽を教えた國分大隅らによって、明治ごろ伝授されたものが演じられており、それ以前のことについては詳しく伝わっていません。
斎藤では面をつけない舞を「小神楽」、面をつけるものを「大神楽」と呼んでおり、古風な所作がよく残っています。
また、國分大隅による伝授が多い中、直毘神社の太々神楽は系統が異なっており、郡山市内に伝えられていたものが伝授され、県内では珍しい唱え言葉が入ったり、巫女舞があったりという特徴があります。
今年はお祭りもままならない年でした。来年はいつもどおり行われることを願ってやみません。
(2020年12月)