河野広中伝8 広中について読む|歴民コラム|三春町歴史民俗資料館
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歴民コラム
河野広中伝8 広中について読む
河野広中について取り上げた本は種々ありますが、広中を語る上で欠かせないのは、大正 12 年に刊行された『河野磐州傳』(上下巻、河野磐州傳編纂会 / 編、1923年刊)です。
これは広中の生前に刊行された伝記で、「翁の實話」、つまり広中の話をもとに書かれ、後に刊行される伝記や論文にも度々引用されています。
ただし、『河野磐州傳』は大正時代に書かれたものなので、現代の我々が読むには難しいところが多くあり、内容も誇張されている部分が見うけられます。
また、広中が桂太郎と立憲同志会を立ち上げたところで本は終わっており、その後の広中の活動については記述がありません。
広中の生涯について知りたいと思われる方に、まずおすすめしたいのは長井純市著『人物叢書 河野広中』(吉川弘文館、2009 年刊)です。
広中の若き時代の激しい政治運動から晩年の政党活動や普通選挙運動まで、時代背景を織り交ぜながらわかりやすく説明しています。
その他、三春ゆかりの研究者・高橋哲夫著『河野広中 小伝』(福島民友新聞社、1980 年刊)はコンパクトにまとまっており、入門として読みやすいものです。
また、自由民権運動のなかで広中が果たした役割がわかる松沢裕作著『自由民権運動』(岩波書店、2016 年刊)は、自由民権運動に意味はあったのか?という根本的な問いも含んだ一冊です。
河野広中に関する本は、歴史民俗資料館や町民図書館で閲覧できます。興味のある方はお問い合わせください。
(2021年12月)