三春張子人形 玉兎(たまうさぎ)|歴民コラム 収蔵資料紹介編1|三春町歴史民俗資料館
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歴民コラム
収蔵資料紹介編1 三春張子人形 玉兎(たまうさぎ)
高柴デコ屋敷や、町内の小沢民芸で制作されている人形は、和紙を張り合わせ、木型によって成形される張子という製法による人形です。
多彩な人形の中から、今回は干支に合せて「玉兎」を選びました。
玉兎は、長い耳に丸い目、ちょこんと座っているかのようなまん丸い胴体で、そのかわいらしさから、長い間愛されて来た人形の一つです。
背中には鮮やかな花柄のようなものが描かれており、人によっては菊、あるいはタンポポを描いているともされますが、高柴では牡丹であるといいます。
江戸時代後期(1800年代初めごろ)から作り続けられてきた三春張子人形ですが、使用していた絵具に毒性があるとして捨てられたり、ブリキやセルロイド、ビニールなどと言った新しい材質のおもちゃがもてはやされたりするようになると、次第に衰退しはじめます。
昭和の初めには、だるまやお面などを除いてはほとんど作られなくなっており、そうした時でもわずかに作り継がれていたものの一つがこの「玉兎」です。
写真の作品は昭和30~40年ごろのもので、奥は下地として胡粉(貝を粉末にして作った白い塗料)を塗ったところ、手前が完成品となります。
三春駒と並んで、町内のお宅には必ず一つはありそうですが、今年はぜひ飾ってみてはいかがでしょうか。
(2023年1月 藤井典子)