「布哇群嶋誌(ハワイぐんとうし) 第一巻 加哇(カウアイ)編」|歴民コラム 収蔵資料紹介8|三春町歴史民俗資料館
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歴民コラム
「布哇群嶋誌(ハワイぐんとうし) 第一巻 加哇(カウアイ)編」1916(大正5)年刊
この本は、ハワイのガイドブックとして日本語で著わされた最初期のものです。
著者の一人は三春町出身の三輪治家。
彼は明治36年にハワイに移民し、同じく三春出身の植田タリ子を妻とし、カウアイ島リフエに日本語学校を開き、多くの子どもたちを教育しました。
「ハワイ群嶋は、太平洋の楽園」という言葉で始まる本文では、ハワイの島々の中でも、カウアイ島の植生や地形、人々の暮らしなどが丁寧に書かれ、日本の人々に広くハワイのことを知ってもらおうという意気込みが伝わります。
三輪治家は、ハワイに渡る前に三春小学校でも教師をしており、生徒たちにハワイを見せたいという思いもあって、この本を企画したようです。
ほかの島についても出版が計画されていましたが、残念ながら続きは刊行されていないようです。
しかし、「太平洋の楽園」という言葉は、ハワイを象徴する言葉として生き続けてきました。
ハワイと日本とを愛した三輪夫妻の思いが詰まった一冊といえます。
この資料は、10月からの開催となる資料館の秋季企画展「旅する人々」でご紹介する予定です。
布哇群嶋誌表紙
口絵(カウアイ島の渓谷)
(2023年9月 藤井典子)