測量用携行行李|歴民コラム 収蔵資料紹介編9|三春町歴史民俗資料館
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歴民コラム
測量用携行行李
明治末~大正にかけて、三春で和算塾を開いていた助川音松が、野山を歩いて測量する際に携行した行李(こうり)です。
竹や柳を編んで作られる入れ物・行李は、衣料の保存に使われますが、もともと行李とは、旅に出るのにまとめられた荷物を意味していました。
特にこの資料は、通常の行李よりだいぶ小さめに作られ、内容物が濡れないよう、表面に一閑張りのような加工がしてあります。
助川音松の師匠である和算家、佐久間庸軒は、幕末に九州まで旅をして、行く先々で地元の和算家たちと交流し、和算修行を行いました。
その弟子は福島県内でも二千人を越え、中には助川音松や伊東直記のように、測量に携わり、道路や橋の建設に貢献した人も多かったのです。
音松は明治時代に北海道に渡り、測量を行っていました。
この頃は、まだまだ自分の足が頼りの旅であり、測量用具を持ち歩くのは大変なことだったと思われます。持ち物をなるべく軽くするため、このような行李を作ってもらったのでしょう。
ご紹介した資料は、秋季企画展でご覧いただけます。
(2023年10月 藤井典子)