土偶|歴民コラム|三春町歴史民俗資料館
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三春町歴史民俗資料館より、三春町の歴史や文化、ゆかりのある人物伝、資料館に収蔵されている資料などについて、コラムをお届けします。
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歴民コラム
土偶
西方前遺跡土偶
あごを少し前に突き出して、ツンとした顔立ちの愛らしい形をしているこの土偶は、今から2300年前の縄文時代晩期の終わり頃に作られたと考えられています。
発掘された場所は、三春ダム下流の西方地区で、ここは縄文時代の中期から弥生時代にかけて大きな集落がありました。
土偶は、手や足など、どこか欠けていることが多く、祭祀(さいし)などの際に厄災(やくさい)を祓(はら)うことを目的に、故意に壊したとも考えられています。
また、乳房や妊婦を表現した女性像が多いことも特徴です。
このことから、安産や豊穣、生命の再生にかかわるお守りといった用途として使われたと考えられていますが、未だにはっきりしたことはわかってはいません。
西方前遺跡から出土したこの土偶、足のように見える部分は実は両腕を表しています。
胴体は上半身のみが現存し、下半身は失われています。頭部から腕にかけて約20センチあり、同時期の土偶の中でも類を見ないほどの大きさなので、もし全身が残っていたら、かなりの大きさであったことが想像されます。
どんな願いが込められて作られたのでしょうか、思いを巡らせてみるのも一興です。
町の指定文化財にもなっている西方前遺跡出土土偶等は、資料常設展示室でごらんいただけます。
(2020年2月)